意外に知らないレインズに登録する図面のルール

不動産流通において、レインズ(不動産流通標準情報システム)への正確な情報登録は非常に重要です。特に物件図面は、取引の基礎となる重要な資料です。本記事では、レインズに登録する賃貸物件の図面作成において法令に違反しないために必ず記載すべき事項と記載してはいけない事項について詳しく解説します。

図面作成における基本ルール

レインズへの図面登録は、単なる事務作業ではなく法的責任を伴う業務です。レインズ利用規程では、登録する図面には「物件に関する適正な情報を記載すること」が明確に定められています。図面は物件の実態を正確に示すものでなければならず、物件調査を十分に行った上で作成することが求められています。

レインズ登録用の図面は、物件の詳細情報が一目でわかるよう設計する必要があります。対象物件の画像や図面情報がない状態では、他の不動産業者や顧客に物件の詳細を正確に伝えることができません。そのため、図面の登録は義務ではありませんが、実質的に必須と考えるべきです。

必ず記載しなければならない事項

図面には物件に関する基本情報と詳細情報を正確に記載しなければなりません。物件の所在地、面積、間取り、築年数、賃料、管理費、敷金・礼金などの基本的な情報は必須です。物件調査を的確に行い、これらの情報を正確に記載することでトラブルを未然に防ぐことができます。

特に、2025年1月からのシステム改修により、所在地や部屋番号(マンション)などの項目も必須となっており、正確な登録情報の促進が求められています。

図面の構成要素

レインズに登録する図面は、特定の構成に従って作成する必要があります。図面は1枚のみ登録可能で、上部に間取り図・案内図・詳細情報等を配置し、下部に商号等を配置するという構成が求められています。

間取り図は物件の空間構成を正確に示す必要があります。また、建物の外観写真や地図なども物件の位置や環境を理解するために重要な要素です。これらの視覚的情報は、物件の状態を正確に伝えるために不可欠です。

2025年1月1日改正の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」において、レインズに登録した物件について、取引の申込みの受付に関する状況等の登録内容が事実と異なる場合は法第65条第1項の指示処分の対象となることが明記されています。つまり、取引状況を含む物件の登録情報は事実に即して正確に表示しなければなりません。

記載してはいけない事項

1. 人権問題にかかわる不適切な表現

図面や備考欄には、同和地区、在日外国人、障がい者、高齢者等をめぐる人権問題にかかわる不適切な文言を入力してはいけません。不動産業は住生活の向上等に寄与するという重要な社会的責務を担っており、人権問題の解決に貢献する立場にあります。

人権尊重の観点から不適切な表現が見つかった場合は早急に削除する必要があり、削除されない場合は行政等から個別に指導が行われる可能性があります。

2. 不適切な登録内容

登録項目に別の内容を記載するなどの不適切な登録は禁止されています。例えば、実際には存在しない設備を記載したり、実際の状態と異なる情報を掲載したりすることは不適切な登録に該当します。

また、正当な事由なく物件の登録・削除を何度も繰り返す行為はレインズ利用規程違反となります。情報の正確性と信頼性を維持するためにも、こうした行為は厳に慎むべきです。

3. リンク情報の不適切な配置

会員ホームページのURLやQRコード(2次元コード)などのリンク情報を図面に掲載する場合は、図面下部の商号欄に掲載しなければなりません。上部の物件内容部分にリンク情報を掲載すると、他会員が物件紹介・広告掲載等に利用した場合に混乱が生じる恐れがあります。

また、リンク先の情報はレインズに登録される物件情報として扱われないことを認識しておく必要があります。

4. 囲い込み防止のための適切な情報提供

物件図面を登録せずに「囲い込み」(他社に案内・紹介させずに自社だけで販売活動をすること)を行うことは避けるべきです。専任媒介契約の場合はレインズへの登録が義務付けられていますが、図面を登録しなければ詳細な状況が他の不動産業者に伝わらず、実質的な囲い込みになる可能性があります。

図面は建物の間取り図や土地の形状など、物件の詳細状況を伝える重要な要素です。これらの情報がなければ、他の不動産業者が適切に物件を紹介することが困難になります。

図面ファイルの技術的要件

レインズに登録できる図面には技術的な制約があります。登録可能な図面は1枚のみで、JPEG、TIFF形式のファイル(TIFFはモノクロのみ、圧縮形式はGroup3Faxのみ)に限られています。また、ファイルサイズは1MBまでで、B4サイズ1.5倍以内(縦または横サイズが54.6cmまで)という制限があります。

これらの技術的要件を満たさない図面はレインズに登録できないため、あらかじめ適切なフォーマットで作成しておく必要があります。

まとめ

レインズに登録する賃貸物件の図面作成においては、物件に関する適正かつ正確な情報を記載すること、人権問題にかかわる不適切な表現を避けること、不適切な登録や囲い込みにつながる行為を行わないことが重要です。

このコラムを見た同業者がプロフェッショナルな不動産業者として、法令や規則を遵守するだけでなく、社会的責任を果たすという姿勢で図面作成に取り組むひとつのきっかけとなれば幸いです。